写真ミニ講座・3

冬至の日の出を撮る

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写真1

■S.Tさんの話では、「冬至の日に、伊勢神宮内宮宇治橋の鳥居の枠中央から日の出を遥拝できる」という。
■1.日の出(07:43)
◆鳥居と松の枝、バックの稜線などから、1と2はほぼ同じ場所から撮られたと考えられる。したがって、1は若干長いレンズ。2は短いレズである。その間、時間は10分。当然、太陽は2の方が明るい。だから2の方が明るく写っているのだと早合点をしてはいけない。太陽と周りの風物との明るさの差は、2の方が大きい。(太陽が明るくなった分、周囲は暗く見える)。1が暗く写っているのは、レンズが長いせいである。1を2と同じ広角で撮っていたら、周囲は2より明るく写ったはず。画面に占める太陽の大きさを比べると、1の方が大きい。レンズが長いほど太陽は大きく写る。太陽が大きいとカメラはまぶしく感じるから、レンズを絞る。(人間が目を細めるのと同じ)。太陽が明るいと周辺は暗く見える。1の場合は、プラス補正が必要。
■2.日の出10分後(07:53)
■3.日の出1時間後(08:43前後)
◆これが本当の日の出ポイント。鳥居と宇治橋の中心線を結んだ線上。多分太陽は橋の手前の立て看板の上から昇ったのだろう。(しかし、何を書いてあるのか知らんが、芸のない看板を立てたものだ)。
 太陽は、水平線から55度ぐらいの角度で右上に動く(琵琶湖から見て、三上山の左斜面と大体一致する)。だから、太陽を左下へ巻き戻すと、おおよそ看板の上ぐらいに来る。
 冬至の日に、この場所をとるのは大変だ。冬至の日に撮ってこそ意味があるのだろうが、私なんかは、この人を見たら、しっぽを巻いて逃げて帰る。しかし、冬至にこだわらなければ、チャンスはある。冬至前後は、太陽はほとんど動かない。国立天文台 のHPによると、三重県津市の日の出の方向は、12月19日から同じく25日までの一週間、118.6度で
変わらない。太陽の直径の角度が0.5度。だから、太陽1個分の誤差を辛抱すれば、12月中旬から1月初旬まで1ヶ月近くチャンスだということになる。
 左は現場の航空写真。太陽はこの画面の右下から昇る。この画面の右端の縦線と橋との角度が、61.4度(180-118.6)であればよい。S.Tさんは橋の左端でカメラを構えた。どうしても冬至の日にこだわるとして、何か手はないかと考えた。ここにたむろしているおっちゃんどもをどう処理するか。それらから遠く離れて、望遠でねらえないかと考えたが、すぐ後に植え込みがありそうだ。この植え込みがなかったら、うんとバックして、長ーいレンズで狙うのも面白そう。しかし、植え込みがある以上どう頑張ってもアカンな。多分1,2の写真で、鳥居の上に重なって見える松の枝がこの植え込みであろう。
 なお、地図の上で、距離・方位を測るには、カシミール3Dが便利である。紙の地図、定規、分度器すべて不要である。
 ちなみに、5はカシミールで描いた宇治橋からの12月21日の日の出。バックの地形が特徴がないので、もう一つよく分からない。ひょっとしたら、S.Tさんの写真で写っているのは、山の稜線ではなく神宮の森なのかも知れない。
 6は浮御堂から見た12月21日の日の出。絵は35mmカメラの200mmレンズで撮った場合である。日の出の位置は左側から移動してきて、冬至の日にいちばん右により、再び左へ帰っていく。左の絵が、浮御堂から見たとき三上山に最も近い日の出ということになる。太陽が昇る線が三上山の左側の傾きとほど同じことが分かる。

 ついでだから蛇足を。
 写真8は、12月16日の撮影である。これの枠内だけをトリミングしたものが写真7。カシミールのの12月21日に比べると、ほんの少し左にあるようだ。
 写真8の浮御堂を含めた全体撮影時のレンズの長さは、35mm換算で96mm、横幅でトリミング比を読んでみると5/11。したがって直接7の写真を撮ろうとすれば、210mmぐらいのレンズを使えばいいことになる。カシミールでの描写がいかに正確かが分かる。これがフリーソフトだから凄い。

 お詫び:本編の写真1の撮影時刻を、S.Tさんからは07:43といただいていたのだが、なんぼ何でも遅すぎる、多分1時間の勘違いだろうと、私(八田)が勝手に06:43と変更しておいたのだが、S.Tさんからメールをいただいて、太陽は伊勢神宮の森からあがるので、それが暦上の日の出より50分ほど遅いのだとのこと。琵琶湖の日の出(琵琶湖では大体暦上の日の出より10分ほど遅れるだけ)と同じように考えていた私の早合点だった。現在は正しい時刻に訂正済み。

写真2
写真3
写真4
写真5
写真6
写真7
写真8


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